iPhoneをトイレに落とした。お風呂で水没させた。雨で濡れた——。そんな瞬間、パニックになるのは当然です。しかし、その後の数分間の行動が、iPhoneを救えるかどうかを大きく左右します。
「充電して動作確認しよう」「ドライヤーで乾かそう」と思った方は要注意です。どちらも故障を悪化させる行動です。正しい応急処置を知っているかどうかが、修理代数万円の差を生み出すことになります。
水没直後の正しい対処法(5ステップ)
水没直後はパニックになりがちですが、以下の順序で落ち着いて対処してください。この5ステップを知っているかどうかが、端末の生死を分けます。
ステップ1:即座に電源をオフにする
まず最優先でやるべきことは電源を切ることです。内部に水が侵入した状態で通電し続けると、基板がショートして取り返しのつかない故障につながります。動いているからといって安心せず、すぐに電源をオフにしてください。
Face IDを搭載したiPhone X以降では、サイドボタンと音量ボタンを同時に長押しすると電源オフのスライダーが表示されます。操作できない状態の場合は、無理に触らず次のステップに進みましょう。
ステップ2:SIMトレイを取り出す
電源を切ったら、SIMトレイを引き出します。SIMカードは電波受信の要となるパーツです。トレイを外すことで内部の水分が流れやすくなり、乾燥も促進されます。SIMカード表面の水分は、柔らかい布でそっと拭き取りましょう。
ステップ3:ケース・アクセサリーをすべて外す
スマホケース・画面保護フィルム・イヤホンなど、本体についているものをすべて取り外します。ケースの内側に水分が溜まっていることが多く、外さないと乾燥が妨げられます。Lightning端子・USB-Cポートに何かが挿さっていれば、それも外してください。
ステップ4:表面の水分を丁寧に拭き取る
柔らかい乾いた布で、本体表面の水分を優しく拭き取ります。充電コネクターの口を下に向けて、手のひらの上でトントンと軽く叩くと水分が排出されます。ただし、強く振ったり遠心力を使ったりするのはNGです。内部の水分が広がる原因になります。
ステップ5:風通しの良い場所で自然乾燥させる
コネクター部分を下に向けた状態で、風通しの良い場所に置きます。Apple公式サポートによると、完全に乾かすには最長24時間かかることがあります。焦って電源を入れたくなる気持ちはわかりますが、ここが一番の我慢どころです。
乾燥剤(シリカゲル)と一緒に密閉容器に入れるのも効果的です。ただし、後述するドライヤーや冷蔵庫・冷凍庫は厳禁です。
絶対にやってはいけないNG行動
正しい処置と同じくらい重要なのが、やってはいけないことを知ることです。以下の行動は故障を悪化させるため、絶対に避けてください。
充電ケーブルを挿してはいけない
バッテリー残量が少なくても、水没直後に充電するのは危険です。内部に水分が残った状態で電気を流すと、基板がショートして致命的なダメージを受けます。iPhoneはケーブルを挿した瞬間に電源が入る仕組みのため、「少しだけ」でもNGです。
iOSが「液体が検出されました」と警告を出したときは、それ以上無視して充電しないでください。この警告は内部に水分が残っているサインです。
ドライヤーで乾かしてはいけない
「早く乾かしたい」という気持ちからドライヤーを使う方が多いですが、熱風はiPhoneの内部部品に深刻なダメージを与えます。特にバッテリーは熱に非常に弱く、膨張・発火のリスクがあります。Apple公式も「高温の熱源でiPhoneを乾かさないでください」と明確に警告しています。
また、風圧によって内部の水分がさらに奥へと押し込まれ、水没範囲が広がる危険性もあります。
本体を激しく振ってはいけない
「遠心力で水を飛ばそう」と本体を振る方がいますが、内部に侵入した水分がさらに広がり、水没範囲が拡大します。コネクターを下にして軽くトントンと叩く程度は問題ありませんが、激しく振る行為は絶対に避けましょう。
米びつに入れてはいけない
「米に水分を吸わせる」という対処法がSNSで広まっていますが、Apple公式はこの方法を否定しています。米粒がiPhoneの内部に入り込んで傷をつける危険性があるほか、乾燥効果も十分ではありません。乾燥剤を使う場合はシリカゲルを選びましょう。
動いていても油断禁物——「遅発性の故障」に注意
水没直後に動いていたからといって、安心するのは早計です。これを業界では「遅発性の故障」と呼んでいます。
内部の基板は水没後も腐食が進行し続けます。表面上は問題なく動いているように見えても、数週間〜数ヶ月後に突然故障するケースが後を絶ちません。特に海水・飲み物・泥水に落とした場合は、乾燥しても塩分や糖分が残留して腐食が急速に進行します。
「昨日水没したけど普通に使えてる」という状態が最も危険です。今すぐiCloudや外付けストレージへのバックアップをとり、できるだけ早めにApple Storeや修理店で点検を受けることを強くおすすめします。
AppleCare+に加入していれば12,900円で本体交換できる
水没してしまったiPhoneを売る前に、まず確認してほしいことがあります。AppleCare+(アップルケアプラス)に加入していますか?
AppleCare+は、落下や液体による損傷を「偶発的な損傷」として補償するApple公式のサポートプランです。水没も補償対象となるため、加入していれば正規の交換修理を低コストで受けられます。
自己負担額は12,900円(税込)・回数無制限
AppleCare+加入中であれば、水没(液体損傷)による修理・本体交換の自己負担額は12,900円(税込)です。しかも修理回数は回数無制限で、保証期間中であれば何度でも利用できます(※盗難・紛失プランのみ年2回制限)。
未加入の場合、同じ修理をAppleで受けると機種によっては数万円以上かかります。たとえばiPhone 16 Pro Maxでは46,800円前後が全額自己負担になるため、1回の事故でAppleCare+の加入料金以上の費用が発生します。
交換後は工場出荷時の状態になる点に注意
AppleCare+での本体交換は「整備済製品」との交換となります。データは一切引き継がれないため、交換前に必ずiCloudや外付けストレージへのバックアップをとってください。「水没後はすぐバックアップ」がこれほど重要なのはこのためでもあります。
加入できる期限は購入日から30日以内
AppleCare+は購入時または購入日から30日以内でないと加入できません。「水没してから加入しよう」と思っても手遅れになるため、iPhoneを購入したタイミングで加入しておくことをおすすめします。
AppleCare+に加入していない方は、買取業者への査定が選択肢になります。次のセクションで水没後の買取相場を解説します。
水没iPhoneの買取相場
水没してしまったiPhoneは、残念ながら買取価格に大きな影響が出ます。業者として実際に査定している立場から、正直な相場をお伝えします。
水没判定が出ると査定額は激減する
iPhoneには内部に液体接触インジケーター(LCI)が搭載されており、水に触れると赤く変色します。査定員はこのLCIを確認するため、外見が綺麗に見えても水没の証拠は必ず残ります。
LCIが反応していると、機能が正常でも査定額は約95%減額となるのが業界の相場です。たとえば、正常な状態なら80,000円で売れる端末が、水没判定で数千円まで下がることがあります。
電源が入らない場合はさらに減額
電源が入らない状態だとジャンク品扱いとなり、買取価格は最低100円〜という業者が多く、場合によっては買取不可になることもあります。水没後は早めに対処して、少しでも動作する状態を維持することが重要です。
Apple・キャリアの下取りは原則対象外
Apple Trade InやキャリアのiPhone下取りサービスは、水没が確認された端末は原則として対象外となります。LCIが反応していると0円判定となり、リサイクル回収として処理されることがほとんどです。「下取りに出そう」と考えている方は注意が必要です。
専門買取業者ならジャンク品として買取可能
水没で動かなくなったiPhoneでも、iPhone専門の買取業者であればジャンク品として買い取ってもらえる場合があります。内部パーツ(バッテリー・カメラ・基板部品など)に価値があるためです。Apple・キャリアに断られた端末でも、複数の専門業者に査定依頼することで、少しでも高く売れる可能性があります。
水没後でも少しでも高く売るためのポイント
水没したiPhoneを売る場合、以下の点を意識することで査定額が変わることがあります。
まず、完全に乾燥させてから査定に出すことが大切です。内部に水分が残った状態での査定は動作不良が出やすく、さらに減額される可能性があります。5ステップの応急処置を行い、最低24時間は自然乾燥させてから査定依頼しましょう。
次に、付属品を揃えることも重要です。水没後の端末でも、充電ケーブル・箱・イヤホンが揃っていればプラス査定になる業者があります。捨てずに保管しておきましょう。
また、複数社に同時に査定依頼することをおすすめします。水没端末の査定額は業者によって大きく異なります。1社だけでなく、専門買取業者に複数社見積もりを依頼することで、より高い査定額を見つけられる可能性があります。
まとめ
水没直後の5分間の行動がiPhoneの運命を決めます。電源オフ→SIM取り出し→ケースを外す→水分を拭き取る→自然乾燥の5ステップを落ち着いて実行することが基本です。充電・ドライヤー・激しく振る・米びつのNG行動を避けることで、修理できる可能性を最大化できます。
動作が回復しても内部腐食は進行します。データを守るためにも、できるだけ早めにバックアップをとり、Apple Storeや修理店に相談することをおすすめします。
水没で使えなくなったiPhoneでも、AppleBuyersでは状態を確認した上で査定いたします。「この状態でも売れるの?」という端末もぜひ一度LINEからご相談ください。
